【第3部】窓を開けて、まだ見ぬパンを焼きに行く | キューブパン専門店 まつやまパン【福岡】

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【第3部】窓を開けて、まだ見ぬパンを焼きに行く

加速する世界と、取り残される恐怖

これまで2回にわたり、私がどのようにAIを相棒として迎え入れ、
厨房を「ラボ」に変えてきたかをお話ししてきました。

しかし、最後にどうしても触れておかなければならないことがあります。
それは、私たちが今生きている時代の「速度」についてです。

正直に告白します。

時々、恐ろしくなることがあります。

テクノロジーの進化、消費者の好みの移り変わり、そして情報の波。
世界のスピードは、これからは人間の頭だけでは追い付かないくらい加速していくでしょう。
昨日までの正解が、明日には通用しなくなる。

そんな時代に、自分一人の経験と勘だけで立ち向かうのは、
あまりに無謀に思えたのです。

AIという「窓」から見える景色

私がAIを使う最大の理由は、効率化のためだけではありません。
加速する世界の流れを、高い視点から見極めるための「窓」が必要だったからです。

自分一人の視界は、どうしても厨房の壁の内側に留まってしまいます。
しかし、AIというパートナーを得たことで、
私は自分の店を、そしてパンの未来を、
もっと広いパースペクティブで眺められるようになりました。

宇宙船の窓から地球を眺め、ホログラムで未来都市の計画を練る男性と人型ロボットの背中。日の出に照らされた地球と「Harmonious Floating City」の青いホログラム表示。

この画像を見てください。
そこには、テクノロジーが自然や街と調和し、
温かな光に包まれた未来が描かれています。

私がAIと共に目指しているのは、機械的な無機質の未来ではありません。

むしろ、AIに支えられることで、
人間がより「人間らしい仕事」に集中できる、そんな温もりのある世界です。

職人の手と、加速する知性

世界のスピードがどれほど上がっても、
パンをこねる手の温もりや、焼き上がりの香りに感動する心は、
人間にしか持てないものです。

AIは、私が追いつけないスピードで情報を処理し、道筋を照らしてくれます。
そして私は、その光に守られながら、安心して目の前の生地に向き合い、
新しい美味しさを追求することができる。

加速する知性と、変わらない職人魂。この二つが重なったとき、
「新しいパン」が生まれるのだと確信しています。

最後に:挑戦を迷っているあなたへ

もしあなたが、かつての私のように

「自分にはデジタルなんて関係ない」と背を向けているのなら

一度だけその窓を開けてみてください。
AIはあなたの仕事を奪いに来る侵略者ではなく、
あなたの情熱をより遠くへ届けるための、翼になってくれるはずです

最初は戸惑うかもしれません。失敗もするでしょう。
でも、その先に広がる景色は、一人で見ていたものよりもずっと鮮やかで、希望に満ちています。

さあ、次はどんなパンを焼きましょうか。 私の冒険は、まだ始まったばかりです。

(完)

水彩イラストで描かれた、古い木造建物の断面図。内部は活気あるパン製造工場で、多くの職人が働いている。左上から巨大な手が看板を修理している。レトロな日本の街並み。

この記事の著者

原 新

和食料理人としてオランダをはじめヨーロッパ各地で料理修行。帰国後は様々な修業を重ねたのち、地元・福岡で郷土料理や大麦料理、スープ専門店など、幅広い食文化に携わってきました。
その後、「料理の延長としてのパンづくり」をテーマに独学でパンの世界へ。ベーカリー経験ゼロからYouTubeで1800時間以上学び、一辺6cmの四角い“キューブパン”という形にたどり着きました。
雑穀マイスターとして穀物や発酵の個性を生かしつつ、最近はAIも活用して新しいフレーバーや商品アイデアを探るなど、職人の感覚とデジタルの知恵を掛け合わせた開発にも取り組んでいます。
「まつやまパン」では、“会話のきっかけになるパン”をテーマに、ちょっと楽しく、ちょっと深いパンづくりを続けています。

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