キューブパンの難しさ──完璧な“立方体”は偶然ではない | まつやまパン

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キューブパンの難しさ──完璧な“立方体”は偶然ではない

立方体を楽しく表現してください
思わずニヤッとしてしまう感じ

「四角いパンって、ただ型に入れて焼けばできるんでしょ?」
そう思われることが多い。
でも、実際は生地量1グラムのズレが形を壊す


⚖️ 生地の重さ1グラムで変わる世界

キューブパンの理想は“正立方体”。
60mm×60mm×60mmの中に、
生地と空気と時間が正確に収まっていなければならない

生地が多すぎると上が割れ、少なすぎると角が立たない。
焼成中の膨張率まで計算して、
「焼く前の生地重量」を微調整する。
それが職人の手仕事の核心だ。


🔥 焼成の「熱の偏り」との戦い

オーブンの中では、角と中央の温度が違う。
角が先に焼け、中央が遅れる。
ここを見誤ると、角がへこみ、立方体が崩れる。

焼き上がったキューブパンが“ピタッ”と立っているとき、
それは熱と水分と重力のバランスが奇跡的に整った瞬間だ。


🎲 立方体という究極の約束

キューブパンを焼くということは、
自然に対して「形を保て」と約束する行為に近い。

生地の個性を尊重しながらも、最後は完璧な角を求める。
人間のわがままと自然の揺らぎが拮抗する、その中間点に立っている。

この記事の著者

原 新

和食料理人としてオランダをはじめヨーロッパ各地で料理修行。帰国後は様々な修業を重ねたのち、地元・福岡で郷土料理や大麦料理、スープ専門店など、幅広い食文化に携わってきました。
その後、「料理の延長としてのパンづくり」をテーマに独学でパンの世界へ。ベーカリー経験ゼロからYouTubeで1800時間以上学び、一辺6cmの四角い“キューブパン”という形にたどり着きました。
雑穀マイスターとして穀物や発酵の個性を生かしつつ、最近はAIも活用して新しいフレーバーや商品アイデアを探るなど、職人の感覚とデジタルの知恵を掛け合わせた開発にも取り組んでいます。
「まつやまパン」では、“会話のきっかけになるパン”をテーマに、ちょっと楽しく、ちょっと深いパンづくりを続けています。

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