バターとマーガリンはどちらが健康に良い?最新研究でわかる真実 | まつやまパン

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バターとマーガリンはどちらが健康に良い?最新研究でわかる真実

バター派とマーガリン派。
この論争は、パンの歴史と同じくらい長く続いている。
「バターは脂肪が多いから太る」
「マーガリンは身体に悪いと聞いた」
そんな曖昧な印象が、いまも多くの人の選択を左右している。

しかし2025年現在、栄養学と食品科学の世界では
このテーマに明確な“アップデート”が起きている。
かつて語られていた健康情報の多くは、すでに古い。

この記事では、
最新の研究にもとづき 健康の観点からバターとマーガリンを科学的に比較し、
最後に「結局どちらを選ぶべきなのか?」という実践的な結論を提示する。

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バターの健康上の特徴:乳脂肪ゆえの“濃いパワー”

バターは 乳脂肪80% の食品で、香りとコクの源である一方、
「飽和脂肪酸(SFA)」が多く含まれる。

飽和脂肪酸とは、動物性脂肪に多く含まれる脂肪酸で、
摂りすぎると LDL(悪玉)コレステロールを上昇させる 可能性がある。

世界的に有名な“ハーバード公衆衛生大学院”の調査でも、
動物性脂肪を植物由来の脂肪に置き換えた場合、
心疾患リスクが下がったと報告されている。

とはいえ、ここで誤解してはいけないのは
「バター=不健康」では決してない ということだ。

バターには乳由来の
・ビタミンA
・ビタミンD
・短鎖脂肪酸
など、有益な栄養素も多い。

特に短鎖脂肪酸は腸内環境に良い作用があることが分かっており、
「バターは少量なら栄養価が高い」という見方もある。

つまり、バターは
“高い力を持つ分、扱いどころが重要”な脂肪 と言える。


マーガリンの健康面:過去のイメージはすでに古い

マーガリンと言えば
「トランス脂肪酸が危険」
というイメージが強い。

しかし、これは2000年代初頭の話である。

2020年以降、日本で流通しているマーガリンは
国際基準に合わせて トランス脂肪酸を大幅に削減 済みだ。

文部科学省の食品成分表でも、
近年のトランス脂肪量は“極めて低い”と明記されている。

つまり、
現在のマーガリンは健康リスクの高い食品ではない。

さらに植物油脂が原料のため
・不飽和脂肪酸が多い
・コレステロールフリー
・脂肪酸組成を調整しやすい
という利点がある。

不飽和脂肪酸(特にオレイン酸)は、
LDLコレステロールを下げる働きがあるとも報告されており、
健康的に見れば「植物油脂ベース」のメリットは大きい。


比較すると見えてくる“健康の本質”

健康的な観点から、バターとマーガリンの特徴を整理するとこうなる。

バターの利点

乳由来の栄養が豊富
風味が良いため少量で満足感が得られる
短鎖脂肪酸が腸に良い可能性

バターの注意点

飽和脂肪酸が多いため、摂りすぎは血中脂質に影響する


マーガリンの利点

トランス脂肪酸は現代では極めて少ない
不飽和脂肪酸が多く、心血管リスクの観点では有利
コレステロールゼロ

マーガリンの注意点

風味は人工的でやや軽さがある
摂取しすぎれば当然カロリー過多になる


最新研究の結論:どちらを選ぶかより“どう使うか”が重要

世界的には、
「バターを完全否定する必要はないが、摂りすぎは注意
「マーガリンは過去のイメージよりずっと安全
というのが科学的なコンセンサスだ。

では、パンと合わせる場合はどうだろう?

パンに合わせた場合、
・バターは“少量でも風味が立つ”ため満足度が高く、
・マーガリンは“軽く溶けにくい”ため、摂取量が自然と安定する。

健康面で本当に問題になるのは
油脂そのものより “摂取量” である。

摂りすぎればどちらも太るし、
適量ならどちらも問題ない。

健康はバターでもマーガリンでもなく、
あなたの使い方が決める。


まとめ:健康の観点では“白黒つけられない”が正解

・バターは栄養価が高く、風味が抜群
・マーガリンは現代では安全に作られている
・どちらも摂りすぎなければ問題ない
・用途や好みで選ぶのが最も合理的

つまり、健康の観点で
「どちらが絶対に良い」
という答えは存在しない。

正確な結論は、こうだ。

バターとマーガリンは“目的に応じて選べばどちらも健康的に使える”食品である。

パンをおいしく食べながら健康を損なわないためには、
どちらかを否定するのではなく
油脂と上手に付き合う知識 が鍵になる

この記事の著者

原 新

和食料理人としてオランダをはじめヨーロッパ各地で料理修行。帰国後は様々な修業を重ねたのち、地元・福岡で郷土料理や大麦料理、スープ専門店など、幅広い食文化に携わってきました。
その後、「料理の延長としてのパンづくり」をテーマに独学でパンの世界へ。ベーカリー経験ゼロからYouTubeで1800時間以上学び、一辺6cmの四角い“キューブパン”という形にたどり着きました。
雑穀マイスターとして穀物や発酵の個性を生かしつつ、最近はAIも活用して新しいフレーバーや商品アイデアを探るなど、職人の感覚とデジタルの知恵を掛け合わせた開発にも取り組んでいます。
「まつやまパン」では、“会話のきっかけになるパン”をテーマに、ちょっと楽しく、ちょっと深いパンづくりを続けています。

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