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人気の菓子パンTOP5[続編]|あんバターサンドが語る“復古ブーム”の理由

アップした「あんバターキューブサンド」の画像を使って生成してください 黒髪日本人25歳くらいの女の子が手に持って笑顔で喜んでいる お土産でもらったようだ 場所は家のダイニングテーブル お土産の箱も並んでいる 他にもキューブパンが入っているようです

懐かしいのに新しい、“令和のあんバター”

トーストしたパンにあんこをのせ、その上にバターをひとかけ。
一見シンプルですが、これが今また若い世代の間で人気を集めています。

それがあんバターサンド
昭和の喫茶文化をルーツに持ちながら、
SNSで“エモいパン”として復活を遂げた、日本的スイートの象徴です。


あんバターの出会いは、実は戦後の喫茶店

あんバターサンドの原型は、戦後の名古屋を中心に広まった“あんトースト”。
バターの塩気とあんこの甘さが奇跡的に合うことから、
「珈琲に合う和スイーツパン」として喫茶店で人気を博しました。

やがて全国に広まり、コッペパンや食パンで挟む“あんバターサンド”へ進化。
つまり、これは日本が作った“塩スイート”の原点なのです。


なぜ今、再び人気なのか

ブームの背景には、現代の食文化が抱える“逆流現象”があります。

  1. 過剰なトレンド疲れ —— シンプルで懐かしい味への回帰。
  2. 和素材の再評価 —— 白砂糖ではなく小豆・塩・発酵バターの安心感。
  3. 喫茶店カルチャーの再燃 —— “ゆっくり味わう時間”への憧れ。

つまり、あんバターサンドの人気は、
速さよりも“余白”を求める時代の反応と言えるのです。


あんことバターの“異文化ハーモニー”

あんこは和、バターは洋。
相反するはずの2つが合わさる理由は、
味覚の構造にヒントがあります。

  • あんこの糖分が塩味で引き締まる。
  • バターの油分が豆の香りを包み込む。
  • 温度差(冷たいバター×温かいパン)が味覚を刺激。

この3要素が重なり、
人は「なぜか止まらない」感覚に陥る。
あんバターサンドは、甘じょっぱさの完成形と言ってもいいでしょう。


職人のこだわり:バターを“溶かしすぎない”

実は、あんバターのバランスを決めるのは温度管理です。
パンが熱すぎると、バターが完全に溶けてしまい、
あんこと一体化して風味が薄れる。

理想は「バターが半分だけ溶けた状態」
冷たい塩気と温かい甘みが口の中で出会う一瞬——
そこに、このパン最大の魔法が宿ります。


まとめ|“懐かしさ”は新しい贅沢

あんバターサンドは、懐かしさを再構築したパンです。
特別な材料ではなく、
どこにでもある素材を最高のバランスで組み合わせる。
その“引き算の美学”が、現代のパン文化に再び息を吹き込んでいます。

つまり、復古は退化ではなく、再発明
あんバターサンドは、時代のスピードを少しだけ緩めてくれる“心の休符”なのです。

この記事の著者

原 新

和食料理人としてオランダをはじめヨーロッパ各地で料理修行。帰国後は様々な修業を重ねたのち、地元・福岡で郷土料理や大麦料理、スープ専門店など、幅広い食文化に携わってきました。
その後、「料理の延長としてのパンづくり」をテーマに独学でパンの世界へ。ベーカリー経験ゼロからYouTubeで1800時間以上学び、一辺6cmの四角い“キューブパン”という形にたどり着きました。
雑穀マイスターとして穀物や発酵の個性を生かしつつ、最近はAIも活用して新しいフレーバーや商品アイデアを探るなど、職人の感覚とデジタルの知恵を掛け合わせた開発にも取り組んでいます。
「まつやまパン」では、“会話のきっかけになるパン”をテーマに、ちょっと楽しく、ちょっと深いパンづくりを続けています。

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