人気の菓子パンTOP5[続編]|クロフィンが見せた“ハイブリッドパン”の可能性

パンとスイーツの境界線が、またひとつ消えた
見た目はマフィン、食感はクロワッサン。
そんな“異文化融合パン”の代表が**クロフィン(Croffin)**です。
オーストラリア・メルボルンで誕生し、
いまや世界中のベーカリーで新定番として定着しつつあります。
クロフィンは単なる流行ではなく、
**「食感の多層構造」×「スイーツの美意識」**という新時代の菓子パンの形。
その人気の裏側には、職人たちの挑戦と遊び心が隠れています。
クロワッサンとマフィンの出会い
名前の由来はシンプル。
Croissant(クロワッサン)+ Muffin(マフィン)= Croffin。
クロワッサン生地をマフィン型に詰めて焼くことで、
外はサクサク、中はふんわり。
さらに中にクリームやジャムを絞り込むことで、
「香ばしさ+甘さ+軽さ」という理想の三重奏を生み出しました。
どこで生まれた?そしてなぜ世界に広がった?
クロフィンは2013年頃、メルボルンのベーカリー「Lune Croissanterie」が発祥とされます。
SNS映えするフォルムと断面が話題を呼び、
サンフランシスコ、ロンドン、東京へと瞬く間に拡散。
特に日本では、
“外はバターの香り、中はデザート感覚”というバランスが受け、
**「軽いけど満足感があるパン」**として注目されました。
菓子パンというより、“体験スイーツ”
クロフィンが他の菓子パンと違うのは、
「食べ方」と「見た目」に完成された体験設計があること。
・断面の渦が美しい → 切る楽しさがある。
・クリームを絞る → 仕上げを自分で完成できる。
・片手で食べやすい → カフェ文化と相性が良い。
つまり、クロフィンは“食べる”だけでなく“眺めて楽しむパン”。
パン屋からカフェ、さらにはホテルスイーツへと広がっていったのも納得です。
日本のパン屋でのアレンジが面白い
近年の日本では、クロフィンをベースにした独自進化が見られます。
- 抹茶クロフィン:和素材を組み合わせた苦味と甘みのバランス。
- 塩キャラメルクロフィン:甘じょっぱさで“あと引く系”に進化。
- 季節のフルーツクロフィン:まるでミニパフェのような華やかさ。
このように、季節性と職人技が融合できる器として、
クロフィンは“創造的な菓子パン”の象徴になっています。
まとめ|クロフィンが教えてくれたのは「自由な美味しさ」
クロフィンは、伝統を壊したのではなく再構築したパンです。
「パンはこうあるべき」という固定観念をやわらかく溶かし、
食感・香り・見た目の境界を超えた先にある“自由な美味しさ”を提示しました。
あんパンが“和の心”、メロンパンが“懐かしさ”なら、
クロフィンは“革新の甘さ”。
そのサクッと軽やかな食感は、菓子パンの未来を告げる音なのです。

