酵母はどこにでもいる──空気の中の“パン職人”たち | まつやまパン

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酵母はどこにでもいる──空気の中の“パン職人”たち

微生物が可愛らしく擬人化された雰囲気で、瓶の中から酵母が空に向かって飛び立っていく様子

酵母というと、白い粉の袋を思い浮かべるかもしれない。
でも実は、酵母はあちこちに生きている。
空気中にも、果物の皮にも、人の手の表面にも。
つまり──パンは、世界そのものが発酵して生まれた食べ物だ。


🍎 りんごの皮にも、ぶどうの表面にも

自然酵母のパン作りでは、
果物や穀物の表面についた野生酵母を育てて使う。
りんごの皮を水につけて数日置くと、
ぷくぷくと泡が立ち始める──それが自然酵母の息吹だ。

空気がきれいとか、果物が新鮮とか、
そんな条件よりも“気候と気配”が大事。
まるで土地の個性が、パンの性格になるようだ。


🌾 パン屋は“酵母の調教師”

人工的に培養されたドライイーストも、
もともとは自然界から分離された酵母だ。
つまり、**どんな酵母も「自然の一部」**なのだ。

パン職人は酵母を支配しているのではなく、
むしろ一緒に踊っているようなもの。
酵母が気まぐれな日は、人間が合わせるしかない。
天気と発酵はよく似ている。


🌍 酵母はこの星の“見えない文化財”

海辺の空気、山の水、街の埃。
すべての場所に違う酵母が住んでいる。
その多様性がある限り、
人間はどこでもパンを焼ける

だからパン作りは、
「世界と呼吸を合わせる行為」と言える。
なんてロマンチックな微生物だろう。

この記事の著者

原 新

和食料理人としてオランダをはじめヨーロッパ各地で料理修行。帰国後は様々な修業を重ねたのち、地元・福岡で郷土料理や大麦料理、スープ専門店など、幅広い食文化に携わってきました。
その後、「料理の延長としてのパンづくり」をテーマに独学でパンの世界へ。ベーカリー経験ゼロからYouTubeで1800時間以上学び、一辺6cmの四角い“キューブパン”という形にたどり着きました。
雑穀マイスターとして穀物や発酵の個性を生かしつつ、最近はAIも活用して新しいフレーバーや商品アイデアを探るなど、職人の感覚とデジタルの知恵を掛け合わせた開発にも取り組んでいます。
「まつやまパン」では、“会話のきっかけになるパン”をテーマに、ちょっと楽しく、ちょっと深いパンづくりを続けています。

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