2026年のパンは「材料」から選ばれる|キューブパンは流行りを超越している | まつやまパン

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2026年のパンは「材料」から選ばれる|キューブパンは流行りを超越している

トレンドは「見た目」から「中身」へ移った

ここ数年のパンブームは、とてもわかりやすかった。
大きい、甘い、映える。
写真一枚で価値が伝わるパンが、次々と話題になった。

ただ、その流れはすでに一巡している。
2026年に向かうパンのトレンドは、もっと静かだ。
判断基準が、見た目から材料へと移っている。

「何が入っているか」
「どこから来た素材か」
この問いに、消費者は敏感になっている。

原材料トレンドは、安心感の再設計

まず、原材料の動きを整理してみる。

米粉。
全粒粉。
発酵バター。
国産小麦。

これらに共通するのは、
体に悪そうに見えないという点だ。

グルテンフリーかどうか。
食物繊維は多いか。
素材の来歴が説明できるか。

健康志向という言葉は広すぎるが、
実際に起きているのは、
「日常的に食べ続けられるかどうか」という判断だ。

派手さより、持続性。
これが、2026年の原材料トレンドの核にある。

パンを「材料から選ぶ」という行為を説明する画像

米粉と全粒粉は、対立ではなく併走する

米粉は、軽やかで、もちもち。
グルテンフリーという文脈もあり、
引き続き需要は伸びる。

一方で、全粒粉も強い。
食物繊維、素材感、噛みごたえ。
こちらは「ちゃんと食べている感覚」を支える。

面白いのは、
この二つが競合していないことだ。

軽さを求める日。
満足感を求める日。

消費者は、
用途によって選び分けている。

発酵バターは「贅沢」ではなく「理由」になる

発酵バターも、
単なるリッチ素材ではなくなっている。

香りがどう違うのか。
なぜ発酵させているのか。

ここが説明できると、
価格は「高い」から「妥当」に変わる。

クロワッサンが再び注目されているのも、
見た目の進化だけではない。
材料起点で語れる余地が、大きいからだ。

商品カテゴリは「専門化」で進化する

次に、カテゴリの動き。

ベーグル。
クロワッサン。
ロブロ(100%ライ麦パン)。

これらは共通して、
専門店が成立しやすい

理由は明確だ。
形と役割がはっきりしている。

健康目的。
食事代替。
間食。

用途が説明しやすく、
選びやすい。

ロブロのようなパンが注目されているのも、
「体に良さそうだから」ではなく、
目的が明確だからだ。

専門店が増えるのは、情報が増えたから

専門店が増えている背景には、
SNSやブログの存在がある。

昔は、
専門的すぎる店は説明が難しかった。

いまは、
なぜこのパンなのかを、
文章や写真で補える。

結果として、
カテゴリ特化型の店が成立しやすくなった。

これは、
キューブパン専門店にも当てはまる話だ。

消費者は「選びたい」のではなく「納得したい」

健康志向。
素材重視。

これらをまとめると、
消費者は「こだわりたい」わけではない。

納得したいのだ。

理由がわかる。
筋が通っている。
続けて食べても不安がない。

2026年のパンは、
その条件を満たすものが残る。

キューブパンは「制約が一つしかない」パンである

ここまで、
2026年に向かうパンのトレンドを
原材料・カテゴリ・消費者意識の3つから見てきた。

米粉、全粒粉、発酵バター、国産小麦。
ベーグル、クロワッサン、ロブロ。
健康志向、素材重視、専門店の増加。

どれも重要だが、
これらはすべて「何を選ぶか」の話だ。

一方で、
キューブパンは少し立ち位置が違う。

キューブパンにある制約は、
形が四角いこと
それだけだ。

キューブ生食パン

形以外は、ほとんど縛られていない

キューブパンは、
材料に縛られていない。

米粉でもいい。
全粒粉でもいい。
国産小麦でも、ブレンドでもいい

発酵バターを使ってもいいし、
あえて使わなくても成立する。

甘くもできる。
食事にもできる。
健康寄りにも、リッチ寄りにも振れる。

多くのパンは、
生地や製法がアイデンティティになる。

ベーグルは、噛み応えを失うと別物になる。
クロワッサンは、層を失うと成立しない。
ロブロは、重さを失うと意味が変わる。

キューブパンは違う。
形が担保している分、他は自由だ。

流行に乗らないのではなく、外側にいる

ここで重要なのは、
キューブパンは「トレンドに乗らないパン」
という話ではない。

正確には、
トレンドの外側に存在できるパンだ。

流行っている素材があれば、
それを中に入れればいい。

健康志向が強まれば、
そちらに寄せればいい。

だが、
流行が終わっても、
キューブパンであることは変わらない。

形が、
アイデンティティを肩代わりしている。

だから、
流行に依存しない。

ガシャポンのカプセルの中にキューブなメロンパンが入っているアニメ画像

トレンドを「使える」パン

多くのパンは、
トレンドに引っ張られる。

トレンドが終わると、
価値の説明が難しくなる。

キューブパンは、
トレンドを使う側に回れる。

米粉ブームが来れば、
米粉のキューブパンを作る。

全粒粉が注目されれば、
全粒粉のキューブパンを作る。

それらはすべて、
「キューブパンの一表現」にすぎない。

軸は動かない。

キューブパンが並んだ売り場 リアル風に 金髪アメリカ人女性がシェフのベーカリーの近未来的な売り場です

2026年に強いパンの条件

2026年に残るパンは、
派手なものではない。

材料が説明できる。
選ぶ理由がわかる。
続けて食べられる。

そしてもう一つ。
文脈を変えられる余白があること

キューブパンは、
その条件を自然に満たしている。

形という最低限の制約だけを残し、
あとは自由。

だから、
流行ってもいいし、
流行らなくてもいい。

キューブパンは「トレンドの外側」にある

2026年のパンを考えるとき、
トレンドを追いかける視点は重要だ。

だが同時に、
トレンドから一歩引いた場所に
立てるパンがあることも重要になる。

キューブパンは、
流行の中心にはいない。

だが、
どの流行とも接続できる場所にいる。

それは、
最も自由で、
最も安定したポジションだ。

この記事の著者

原 新

和食料理人としてオランダをはじめヨーロッパ各地で料理修行。帰国後は様々な修業を重ねたのち、地元・福岡で郷土料理や大麦料理、スープ専門店など、幅広い食文化に携わってきました。
その後、「料理の延長としてのパンづくり」をテーマに独学でパンの世界へ。ベーカリー経験ゼロからYouTubeで1800時間以上学び、一辺6cmの四角い“キューブパン”という形にたどり着きました。
雑穀マイスターとして穀物や発酵の個性を生かしつつ、最近はAIも活用して新しいフレーバーや商品アイデアを探るなど、職人の感覚とデジタルの知恵を掛け合わせた開発にも取り組んでいます。
「まつやまパン」では、“会話のきっかけになるパン”をテーマに、ちょっと楽しく、ちょっと深いパンづくりを続けています。

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