世界には「パンで年を越す」文化がある|お正月とパンの意外な関係
新年は「パン」から始まる国がある
お正月といえば、
日本ではおせち料理やお雑煮が思い浮かぶ。
だが、世界を見渡すと、
「パンで新年を迎える」文化は意外と多い。
しかもそれは、
単なる食事ではなく、
運試しや厄払いといった
縁起担ぎの役割を担っている。
フランスの新年菓子パン「ガレット・デ・ロワ」

フランスでは、新年から1月6日の公現祭(エピファニー)にかけて
「ガレット・デ・ロワ」を家族や友人と分け合う。
このパン菓子の特徴は、
中に「フェーヴ」と呼ばれる
小さな人形やそら豆が一つだけ入っていること。
それが当たった人は、
その日一日「王様」になれる。
王冠をかぶり、
みんなから祝福される。
「ガレット・デ・ロワを食べないと一年が始まらない」
と言われるほど、
このパンは新年の区切りそのものだ。
パンで厄を払うという発想
さらに驚くのは、
パンを食べずに投げる文化もあることだ。
アイルランドなど一部の地域では、
年末年始に古いパンを家の壁に投げつけ、
邪気を払う風習がある。
古いパンを投げることで、
家の中の悪いものを追い出し、
新しい年に食べ物に困らないよう祈る。
考えてみれば、
日本の節分の豆まきとよく似ている。
「投げる」という行為で、
福を呼び込む。
パンは、
食べ物であると同時に、
願いを託す道具でもあった。
日本でも広がる「パンでお正月」
近年、日本でも
お正月をパンで楽しむ動きが増えている。

いわゆる「パンのおせち」や、
干支をモチーフにした「干支パン」だ。
おせち料理をイメージした惣菜パンを
重箱風の箱に詰めたり、
その年の干支の形に成形した菓子パンを並べたり。
黒豆、栗きんとん、あんこなど、
和の食材を使った「お正月パン」も定着しつつある。
和食が続く三が日の中で、
パンがあるだけで、
少し肩の力が抜ける。
形式より「区切り」を楽しむ
こうした文化を見ていると、
お正月に大切なのは
「何を食べるか」よりも、
どう区切るかなのだと思えてくる。
そばでもいい。
餅でもいい。
パンでもいい。
誰かと分け合う。
縁起を担ぐ。
新しい年を意識する。
パンは、
その役割をとても柔軟に引き受けられる。
パンで始まる一年も、悪くない

フランスでは王様を決め、
アイルランドでは厄を払い、
日本では遊び心を添える。
パンは、
どの国でも
新年を少しやさしくしてきた。
今年のお正月は、
おせちの横にパンがあってもいい。
あるいは、
パンから一年を始めてもいい。
そう思うと、
お正月が少し身近になる。
