ドイツの元旦は「幸運を結ぶプレッツェル」で始まる|Neujahrsbrezelの話 | まつやまパン

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ドイツの元旦は「幸運を結ぶプレッツェル」で始まる|Neujahrsbrezelの話

新年をパンで祝う国がある

日本では年末に「年越しそば」を食べて一年を締めくくる文化がありますが、
ヨーロッパでは年末年始をパンで祝う国もあります。

とくに
ドイツの「Neujahrsbrezel(ノイヤールスブレッツェル)」は、
新年の朝に食べるパンとして知られています。

私が読者の方に初めてこの話を聞いたとき、
「年越しパン」という響きに、
思わず心が浮き立ちました。

Neujahrsbrezel

Neujahrsbrezelとは何か?

Neujahrsbrezelは、ドイツ語で
**「新年のプレッツェル」**を意味します。
通常私たちが思い浮かべる塩味のプレッツェルとは違い、
新年用は甘い仕立てのものが多いのが特徴です。

私自身が実際にいただいたものは、
アイシング(粉砂糖のペースト)とスライスアーモンドがまぶされた、
どっしりとした生地のプレッツェルでした。

大晦日に焼かれ、
元旦の朝のブランチとして家族や友人と分け合って食べる。
甘くて香ばしいその味は、
「新しい一年の始まり」にふさわしい幸福感を連れてきます。

プレッツェルの形に込められた意味

Neujahrsbrezelが単なる「甘いパン」ではないのは、
その形にも深い意味があるからです。

プレッツェルの結び目は、
人との絆や永遠、祈りの姿勢を象徴すると言われます。
古くは修道士たちが胸の前で腕を交差して祈る姿を模した、
という説もあります。

さらに、
プレッツェルの三つの穴は
キリスト教の「父・子・聖霊」という
三位一体を表すともされ、
祝祭や祝福の意味合いが重ねられてきました。

プレッツェルの三つの穴は

キリスト教の「父・子・聖霊」という

三位一体を表すともされ、祝祭や祝福の意味を画像化したもの。窓からの明かりが神々しくプレッツェルを照らしている。

このように、パンの形そのものが
新年の「祈り」と「幸運」の象徴になっているのです。

絆を分け合う、という祝福

なぜプレッツェルを家族で分け合うのか。
それは、形が結び目であることともつながっています。

元旦に家族みんなでパンを切り分けるという行為は、
物理的な「共有」であると同時に、
精神的な「結びつき」の象徴でもあります。

つまりNeujahrsbrezelは、
単なる朝食ではなく、
一年の幸運、健康、絆を願う儀式パンなのです。

プレッツェルが並んでいる画像

甘いパンで始める一年

ドイツでは大晦日は多くの家庭でパーティ料理や
サラダ、フォンデュなどで過ごし、
年明けにこうした特別なパンを食べます。

元日には特に決まった料理があるわけではありませんが、
Neujahrsbrezelを食べる家庭が
祝祭ムードを落ち着かせながら一年を始める、
という感覚はとても魅力的です。

甘いパンで朝を始める。
日本の雑煮やおせちとは違うけれど、
その地方独自の「区切り方」として、とても理にかなっています。

年をまたぐパン文化の多様性

振り返ると、
年末年始に食べられるパンには
世界各地でユニークな意味が宿っています。

フランスのガレット・デ・ロワのように幸運を分け合うパンがある一方、
Neujahrsbrezelは
「絆を結び、繁栄を祈るパン」です。

私たちが日常的に食べているパンも、
こうした文化と結びつくと、
見え方がぐっと豊かになります。

今年一年、幸運を呼び込むパン

飾りつけされたプレッチェル

Neujahrsbrezelは、
見た目にも味にも、
そして意味にも豊かなパンです。

家族と分け合って食べる。
一緒に過ごす時間を祝う。

そんなパンのあり方は、
私たちが普段の食卓で見落としがちな、「食べ物の持つ力」を
思い出させてくれるように思います。

この記事の著者

原 新

和食料理人としてオランダをはじめヨーロッパ各地で料理修行。帰国後は様々な修業を重ねたのち、地元・福岡で郷土料理や大麦料理、スープ専門店など、幅広い食文化に携わってきました。
その後、「料理の延長としてのパンづくり」をテーマに独学でパンの世界へ。ベーカリー経験ゼロからYouTubeで1800時間以上学び、一辺6cmの四角い“キューブパン”という形にたどり着きました。
雑穀マイスターとして穀物や発酵の個性を生かしつつ、最近はAIも活用して新しいフレーバーや商品アイデアを探るなど、職人の感覚とデジタルの知恵を掛け合わせた開発にも取り組んでいます。
「まつやまパン」では、“会話のきっかけになるパン”をテーマに、ちょっと楽しく、ちょっと深いパンづくりを続けています。

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