はちみつとキューブパンは相性が良い?
はちみつとパンは、だいたい仲がいい。
強く主張し合うわけでもなく、かといって無関係でもない。食卓に並ぶと、自然に成立してしまう関係だ。
この相性の良さは、味の派手さでは説明できない。
むしろ「失敗しにくさ」に近い。

甘さが前に出すぎない、という強さ
はちみつの甘さは、砂糖ほど尖らず、ジャムほど情報量が多くない。
口に入るとすっと広がり、長く残らない。パンの香りや食感を上書きしないのが特徴だ。
結果として、
「パンを食べている感覚」が保たれる。
これは好みの問題というより、身体感覚に近い。
甘いのに重くならない。主食の顔を壊さない。
だから朝でも許され、日常に組み込まれる。
人は“ちょうどいい甘さ”を選び続ける
行動経済学では、人は極端な選択を避ける傾向があると言われる。
甘すぎる、重すぎる、特別すぎる──そうしたものは、最初は魅力的でも習慣になりにくい。
はちみつは、その真逆にいる。
甘いが背徳的ではない。
シンプルだが退屈でもない。
はちみつを好む人は、必ずしも甘党ではない。
「何もつけないのは寂しいが、こってりしたくはない」
その中間層に、きれいに収まる。
パンの種類が変わると、役割も変わる
白いパンにかけると、はちみつは主役になる。
全粒粉やライ麦のようなパンでは、まとめ役に回る。
パンの情報量が少ないほど、はちみつは前に出る。
情報量が多いほど、後ろから支える。
嗜好が成熟すると、「甘さを足す」より「全体を整える」方向へ意識が向かう。
少量のはちみつで、輪郭だけを整える。
この感覚に気づくと、ベタベタした甘さには戻りづらい。

はちみつは、パンを主役にする甘さ
はちみつは、自分が目立つための甘さではない。
パンを前に出すための甘さだ。
だから派手さはない。
しかし長く使われ、文化として残った。
その関係を一歩進めて、
はちみつを塗るのではなく、生地で包み込むという発想で焼き上げたのが、
はちみつをたっぷり巻き込んだ**「はちみつクロワッサン」**。
キューブパンの専門店・まつやまパンが、
はちみつとパンの距離を、ほんの少しだけ縮めた一品だ。

